「何が分からないか」を理解する

 

 

 

 

 

こんにちは、スタジオ+講師の立田です。

 

 

 入塾間もない小学低学年の男の子と算数の学習をしていた時のことです。

赤い線で書かれたリンゴと、青い線で書かれたリンゴの絵があり、

「赤いリンゴは何個ですか? 青いリンゴは何個ですか?

合わせて何個ですか?」
というような問題がありました。

ちょっとの間、彼はテキストに向かったまま、動かなくなっていました。

それから、赤鉛筆でリンゴを塗り始めました。

私はどうしたものかなと見守りつつ、

途中で「ああ! 確かに!」と思いました。

 

赤いリンゴではないですよね、赤い線で書かれた、白いリンゴです。

青いリンゴというのも、真っ青なリンゴなんてないのですから、

よく考えるとおかしな話です。

大人は、それを「お約束」として始めから了解していますが、

彼は、言葉を素直に受け取り、疑問に思い、考えていたのかもしれません。

「色を塗るのではなくて、数えようね」と安易に言ってしまわなくて、

良かったと思いました。彼は素直に問題を読み、

自分の頭で考えたからこそ、その行動をとったのでした。

 

自分自身のことを思い起こすと、学習していて本当に分からないというのは、

何がどう分からないかも、分からないのです。

それを伝えることが出来たら、もう半分以上、

分かったという事なのです。

 

その男の子は、最初のころは学習に対する戸惑いが強く、

問題を前に暗い表情で動けなくなってしまうことが何度かありました。

その都度、何故なのかを彼の言動から教えてもらい、

解決策を探しながら、学習を進めていきました。

 

数か月経った今では、毎回、笑顔でお話をし、

学習もどんどん進められるようになってきています。
塾に通うことにも、抵抗がなくなったとのお母様のお話を聞き、

とても嬉しかったです。

 

お子さんが何をどう感じているのか、

「こうだろう」と狭い自分の経験や想像だけで決めつけてしまうのではなく、それを理解しようとする姿勢が大切だと、彼には教えてもらいました。

▲生徒さんが、考え込んでいた問題
▲生徒さんが、考え込んでいた問題